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ランズベリー・アーサー 声優 インタビュー

声優・ランズベリー・アーサーインタビュー「好きなことを 仕事にするには」

声優・俳優の「キャラクターを演じる仕事」に焦点を当て、その人物のマインドや舞台裏を聞く。
日本人離れした華やかなビジュアルと、声優として着実にキャリアを積み続けるランズベリー・アーサーさんにインタビュー。
その姿やスタンス故に苦悩してきたからこそ、無骨な精神で戦い続ける熱さと強さが見えてくる。
Interview&Text 白峯アサコ(Mahio) Photo 井上依子(YOL) Hair&Make Yurina
ランズベリー・アーサー 声優 インタビュー

ランズベリー・アーサーProfile
アメリカ合衆国出身。9月12日生まれ。「高校星歌劇-スタミュ-」月皇海斗、「アルゴナビス from BanG Dream!」フェリクス・ルイ=クロード・モンドール、「プレイタの傷」甲斐ヤマト、「ドラゴンクエストX」ミローレほか舞台、ラジオ、ゲームなどに出演。

学校見学もせず、学費を速攻で振り込んで入学

――アーサーさんはどんな経緯で声優を目指すようになったのでしょう?
友達に誘われたのがきっかけでした。元々、引きこもりで2年ほどネトゲ廃人だった時期があり、それを経て某老舗執事喫茶のオープニングスタッフになりました。そこには声優を目指している同僚も多く、専門学校の様子や、オーディションを受ける話などを聞かされていました。
執事喫茶を辞めた後も同僚と共にバイトを転々とし、3年ほど経った頃、事務所への所属が決まった同僚に「アーサーもゲームや漫画好きなんだから、声優目指したら? 自分の(演じる)キャラでゲームできるし好きな漫画に出られるよ」と誘われました。
その言葉で「ああ、そういう人生もあるんだなあ」と初めて職業として声優を意識しました。それまで声優というものにフォーカスしたことがなかったんですが、思い立ってすぐに彼と同じ専門学校に行くことに決めました。学校見学もせず、学費を速攻で振り込んで(笑)。


――思い立ってからの行動が早いですね!
それ以前はずっと音楽をやっていて、実はレコード会社からデビューの話も頂けてたんです。バンドのボーカルだったのですが、ボーカルってバンドの顔になる存在なので「自分がバンドメンバーの人生を背負っていけるのか…今は無理だ」と大きなプレッシャーを感じてしまい…。
結局デビューの話を断り、バンドも辞めて芸事から逃げてしまった過去がありました。なので、一度は離れた芸事の世界へ戻る事にちょっと迷いはありました。しかし、凝り性な性分なので、目指すなら一番を目指して勝つぞ。と、やると決めたらとことんやる気で臨みました。
そこから専門学校に2年通い、現在の所属事務所の養成所に入りました。その専門学校や養成所ではクラスアップの定期査定があり、査定でダメならそのクラス継続か辞めるかを選ぶのですが、私はまずその査定で一度でもつまずいたら辞めようという覚悟で臨みました。自分に条件を課して追い詰めていこうと思ったんです。


――バンドデビューを断った経緯には驚きですが、責任感が強かったんですね。自分の中で、あえて厳しい目標設定をして挑んだ、と。
これは自分の考えなのですが、俳優や声優はどこかの事務所に所属する、という段階までは頑張れば絶対になんとかなる、と思っています。そこから仕事の獲得となると、実力だけでなく様々な条件やタイミング、縁や運も必要ですが、技術的な面は自分が努力しないといけない事。なので、養成所で学ぶ身の間はひたすら学んで努力する。その段階で事務所所属が出来るまでの自分磨きすらできなければ、自分は声優を目指すには熱量が足りないと判定すべきだと。
これは芸事全般に言えますが、プロとして仕事をするようになると、実力や才能があってもうまくいくとは限らない。オーディションや現場で出会う関係各所やクライアントにはもちろん、「売れっ子」になるまでは特に自社内で、売り出す価値があると認識してもらえるようにアピールすることも必要です。養成所までは戦う相手が自分であり、基礎技術を磨くという明確な目標に集中できますが、プロとなると多岐に渡っていろいろなことと戦うことになります。
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プロになってからの世界は毎回が隠しダンジョンのボス戦

―― 一般的なキャリアで置き換えると、純粋な学力だけで戦う高校大学の受験勉強と、適性や相性も見られる就職活動での面接や試験との違いでしょうか。
はい、難易度が徐々に上がるミッションをひとつずつクリアしていくように。このレベルならここまでは進める、この先はレベルをどんなに上げても必須アイテムがないといけない、などゲーマーっぽいのかもしれません(笑)。むしろプロになってからの世界は、隠しダンジョンの裏ボスと戦い続けている感じ。毎回出現する敵がどんな強さか想像もつかない! みたいな。
新人時代は難しかったですね。他人に媚びることが一切できず「新人らしさがない」とよく言われました。他がまだ18歳とかの中で、自分はすでに20代で決して若くはなかったので、若さやフレッシュさは出せませんでした。根が真っすぐな部分もあるので「真面目すぎる」や「君は面白くない」とか、他にも強い言葉をぶつけられる事もありました。


――その指摘をどのように捉えましたか?
 「この人はそう感じたんだな」ってスタンスで受け止めはすれど、そこで妙に自分のスタンスを変えたりしませんでした。それが生意気に見えて、鼻についたりしたんでしょうね。今となっては、もう少し新人らしくしておくべきだったかも、と反省もありますが、曲げずにきて10年です。


――声優としての10年、変化はありましたか?
最初は名前や外見でちょっと壁を感じる、固い印象があると思われてましたが、今は事務所内も共演者にも理解してもらえるようになってきました。一人称が「私」なのもそう思わせてしまっていたんでしょう。でも家族と話すときも「私」なんですよ。


――家でもそうなんですか!?
自分の中では普通の一人称のつもりでずっと使っているんですけどね(笑)。
外見、名前、一人称、スタンスが相まってデビューから数年は共演者にも、異物として見られて馴染めなかった。「顔とノリで声優やってるんじゃないの?」とか、先輩や同世代たちから心ない言葉も言われたりしました。それを経て、そうじゃないんだって、10年かかりましたが今はやっと理解してもらえるようになりました。
「継続は力なり」長く続けるって大事だな、と実感しますね。


――インパクトのある第一印象は強みになりますが、誤解されがちな難しさがありますね。
外見を含めて変わってると思われることに抵抗感がありましたが、今では受け入れてバラエティや芝居でも敢えて自分の「変わっている素の部分」を強調して見せることもできるようになりました。昔、心ないことを言ってきた人の中には、当時のことを謝ってくれた人もいました。


――その方もちゃんと認めたんですね、すごいことだと思います。
ああ、よかったな、と。この偏見のせいで辞めたいと思った時期も何度もありましたが、やはりこの仕事は楽しいし芝居も本当に好きだし、偏見を受けてもずっと続けようと強く思えてますね。
応援してくれている皆さんが喜んでくれるのも大きいです。これは本当に元気をもらえるんですよ。
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普段から色々な自分の声色を把握しておく

――キャラクターを演じることについてお聞かせください。
 「アルゴナビス」でのフェリクスのように、以前から貴族や金持ち、綺麗系のキャラクターを演じることが多いんですが、実は自分としてはそこまで得意な系統ではなかったんです。
だけどそれが出来ないと次のチャンスはないので、必死で勉強しました。雰囲気とイメージで、クールなキャラが得意分野だと事務所に思われてたんでしょうね(笑)。


――今後、積極的にやってみたい系統のキャラは?
熱血系のキャラですね。声を張るような真っすぐな熱いキャラをやりたいと思ってます。「プレイタの傷」の甲斐ヤマトなどがそれに近いです。
無骨な気質のキャラを演じるのは楽しいし「カーネリアンブラッド」の杠葉ヨルのようなオラオラしたキャラも気に入ってます。
それまでクールで落ち着いた印象のキャラを演じることが多かったので、これからは感情豊かなキャラももっと演じられたらなと。
耽美系を多く演じてますが、実は無骨で粗雑だったり、真っすぐな熱血なキャラの方が、親近感があります。


――でも一人称は「私」なんですよね。
そこがちぐはぐに見えるんでしょうか(笑)。別に美意識が高いからとか、耽美なキャラ作りを狙ってやってる一人称じゃないんですが(苦笑)。


――現在も心掛けている練習などはありますか?
いろんな音を出してみる、ですね。例えば演じる機会はそうないですが、老人とか、こう出したら老人の声に聞こえる、というテクニックをあれこれ試します。
声って普段から色々な使い方をしないとパッとでないものなので、お風呂とかではいろんな声、というか音を出してみてます。


――自分の出した声を認識するのって難しいですよね。
自分が出した声と、周りに聴こえている声の差を把握しておく必要がありますよね。自分ではカッコいい声を出したつもりでも全然そう聴こえなかったり…。
デビュー当時はテレビから聞こえてくる自分の声に「うわ…!」ってショックを受けたり、自分のボイスサンプルを聴いて胸が痛くなったり(笑)。
今でも、演じたことのない新しい役や話し方では、自身の認識のズレが起きかけることはありますね。出した声を録音して聞いてみて、思ったとおりの声かどうか確認してみたり、その都度調整ですね。
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自分は何にも関われてない

――アーサーさんはゲーマーとのことですが、今でもゲームはプレイしてますか?
ゲームは時間を見つけてプレイしてます。攻略サイトなどは見ず、自分で攻略していくのが好きで、昔は同じゲームを何周もしてやり込んだりしていましたが、今はなかなか時間が取れないので1周クリアで精一杯ですが。アニメは…今はもう大丈夫なんですが、以前はちょっとアニメを観られない時期もありました。この仕事をするようになってから…。


――やはり、作品を仕事の目線で観てしまうからでしょうか?
そうです。デビューから数年は、指で数えられるほどしか仕事もオーディションの機会もない時期があり、その時期はアニメを観るのが辛かった。
こんなにたくさんアニメが放送されているのに、自分は何にも関われてない、オーディションすら受けられてない。書店に並んだ好きな漫画の帯に「アニメ化決定!」とあるのを見かけて、受けたかったなあと思ってしまい、書店も行くのも辛くなり…。


――「好き」を仕事にすると避けて通れない苦しさですね。
その通りです。もし受けられても大好きな作品のオーディションに落ちてしまった時は、その作品を観るのが辛くなる。
関われてない事が悔しくて素直に作品を楽しめなくなってしまいます。


――その辛い時期を乗り越えるにはどうしたらいいのでしょう?
雑な言い方になりますが、こればかりは慣れですね。受け入れるしかないです。声優というのは、作品とキャラクターがあって初めて仕事になるので、私たちは常に選ばれる側です。選ばれなかったのは、今の自分が足りなかったのだと受け入れられるようになりました。
今回はダメだった、でも次回作があるなら絶対狙うぞ、それまでに実力も知名度ももっと上げてチャンスを増やすぞ、とポジティブに考えられるようになりました。


――乗り越えるには強いメンタルも必要なんですね。
乗り越えても、また何度も悔しい思いをすると思います。でも、一生こうして闘い続けるんだと思います(笑)。
アニメや漫画、ゲームが好きな人ほどこの苦しみは大きいと思います。好きな作品に関われないのって、心が折れるんで。立ち直りはするけど、その時はちゃんとヘコみます。
好きな作品に関わるためには、実力を伴った上で業界が自分を無視できない存在になるしかありません。
10年で足りないなら15年、いや20年、そこに到達できるか!?と…。そうして目指していかないと夢がないですからね。


――少年漫画の熱血主人公のような再起の仕方ですね。
誰かや何かのせいにしたり、自分を卑下するのではなく「自分は今この数字(集客力など)を持っている」と、実力以外の商品価値としての部分も更に客観的に批評するようになりました。
「自分まだこのくらいしか数字持ってないのか…」と哀しくなる時もありますが(苦笑)。でも、今はそれも含めて楽しいと思えてます。


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「好きなことを仕事にしたいならブレずに長く続けること、折られないこと」

――これからは名前や外見も武器になるのでは?
エンドクレジットなどで名前が悪目立ちしちゃうこともありますが、そこも一長一短の武器ですね。実は、昔は写真に撮られるのが嫌いでした。


――(カメラマンから)撮られるの嫌いそうな顔してる(笑)。
そうです(笑)。今まで自分の外見だけで評価されることが多く、内面や芝居部分まで踏み込んでもらえなくてコンプレックスでした。この名前や外見で事務所に入れた部分も大きかったと思っていたので尚更、芝居の実力だけで勝負したいと肩肘張ってました。
今やっと、どれも全部自分の武器だと受け入れられるようになりました。写真嫌いで10代の頃の写真がほとんど残ってないのは、今思うとちょっと寂しいことだよなと。
これからは、順調に年齢を重ねて老いていくまでの姿を写真に残していきたいと思っています。今回の撮影はいい記録になりました!


――撮影を楽しんでいただけて何よりです! この勢いでコスプレも…いかがですか…?
そういう機会をもらえるならコスプレ是非とも!何でもやりますよ〜!(笑)。


――これは今後が楽しみですね! 最後に、好きなことを仕事にしたい人たちへメッセージをお願いします。
思い描いた通りの未来には簡単には行けないと思います。ですが、折れなければなんとかなります。ここでの「折れる」とは周りからの「ああしろ、こうするな」に対して「わかりました」と何でも相手の希望通りに自分が折れること。
聞くべきアドバイスはもちろんありますが、何でもかんでも全部聞いてしまうと、その人は何でもなくなってしまい、その人である必要がなくなってしまう。折られちゃうのは簡単です。意見を聞きながらも、自分の中に曲げない何かを1つ、明確に用意しておいたほうがいいと思います。
折れなかったからこそ、滅多打ちにされることもありましたが、得られたものはたくさんあります。
あとは、1つのことを長く続けること。あれもしたいこれもしたいと目移りしても芯はブレずに、回り道しても1〜2年で諦めず、目標に集中すること。
くじける事があっても折れずに続けて頑張ってほしいです。

――まさに「継続は力なり」ですね。たくさんの貴重なお話、ありがとうございました!



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